シンクライアントのデメリットの一つに導入費用の高さが指摘されています。そこで、シンクライアントの環境を整備するためにどういった費用が発生するのか、また費用を抑えるための方法についてまとめました。
シンクライアントにはいくつかの実行方式があります。ここでは、性能や導入のしやすさで現在主流となっているVDI型(デスクトップ仮想化型)を例に、シンクライアントを導入する際の費用について解説します。
VDI環境を構築するためには以下のものが必要になります。
日商エレクトロニクスの調査によると、1,200ユーザーのとき、ハードウェア費用が1台約15万円、ソフトウェア費用が11万円、導入費用が2万円で、1台当たり約28万円かかるとしています。
参照元:日商エレクトロニクス(https://cloud.sojitz-ti.com/vdiblog/vdi_runningcost/)
この調査の数字には1,200ユーザーというスケールメリットが含まれますので、ユーザー数が少なければ1台あたりの費用はもっと高くなります。シンクライアント導入時は、1台当たり20~30万円を相場として考えておくとよいでしょう。
通常のPCを導入する場合は、ハイスペックなものでなければ1台あたり10万円程度で済みます。シンクライアント化するための環境整備が加わることで、導入コストは2~3倍になることがわかります。
シンクライアント(VDI型)はサーバー側で処理のほとんどを行うため端末側のスペックは最小限で済みます。その一方でサーバーにデスクトップ仮想化環境を構築する手間と費用が発生します。
導入コストが高くなる要因はその点にありますので、費用を抑えるためには仮想化するソフトウェアやライセンス料が安いものを選ぶことになります。その場合、必ずしも費用対効果において満足できる内容になるとは限りません。
確かに端末を外部に持ち出したときの紛失や盗難による情報漏洩リスクは下がりますが、その効果に見合う費用でなければ導入を躊躇してしまうでしょう。
シンクライアントの導入コストの高さから、その発展型として注目されているのがデータレスクライアントです。データレスクライアントはサーバーにデータを保存し、端末は処理のみを行う仕組みとなっています。
作業データは端末に残らないため、シンクライアントと同様に情報漏洩リスクを下げることでき、サーバー側に処理環境を構築する必要はありません。そのため、シンクライアントよりも導入コストを抑えられるメリットがあります。
シンクライアントでは既存PCの機能をわざわざ無力化するケースもありますが、データレスクライアントは端末のスペックや処理能力をそのまま活かせるので無駄がなく、効率的な方法といえるでしょう。