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データレスクライアントとゼロトラストデータ保護

データレスクライアントとは、データをPC上ではなくサーバーに保存し、処理のみを端末で行う仕組みです。ネットワーク環境さえ整っていれば、社内外を問わず業務が可能となり、万が一PCを紛失・故障してもデータの損失や情報漏洩を防げる点が大きなメリットです。

近年はリモートワークの拡大に伴い、従来の境界型セキュリティでは対応しきれないリスクが顕在化し、「ゼロトラスト」の考え方が注目されています。その中でも、データの保護に特化した「ゼロトラストデータ保護」は、情報漏洩対策の鍵として注目を集めています。

本記事では、ゼロトラストデータ保護の基本的な考え方や、導入時のメリット・デメリット、直面しやすい課題とその対処法について解説します。

データレスクライアントとゼロトラストデータ保護について

リモートワークの普及により、従来のPC環境ではオフライン作業時にデータ損失のリスクが高まるなど、情報セキュリティ上の課題が浮き彫りになっています。社員が社外に業務用PCを持ち出すケースも増え、データの一元管理やセキュリティの確保が難しくなっています。とりわけ、PCの盗難や紛失による情報漏洩を防ぐためには、より厳格な対策が求められています。

こうした課題への解決策として注目されているのが、データレスクライアントの導入です。データをPC上に保存せず、サーバー側で管理するこの仕組みにより、万一PCが紛失・盗難に遭ってもデータ漏洩のリスクを大幅に低減できます。

導入企業からは次のような効果が報告されています。

一方、これまでのセキュリティ対策は、社内ネットワークは信頼できるという前提に立ち、ファイアウォールやプロキシを用いて通信を監視・制御する「境界型セキュリティ」に依存していました。しかし、クラウド利用の一般化やテレワークの定着により、このモデルだけでは十分なセキュリティを確保することが困難となっています。

そこで今、注目されているのがゼロトラストデータ保護です。すべての通信・アクセスを信頼せず検証するこのアプローチにより、ネットワークインフラの簡素化、ユーザー体験の向上、サイバー脅威への耐性強化など、さまざまな効果が期待されています。

ゼロトラストデータ保護とは?

ゼロトラストとは、「すべてを信頼しない」ことを前提としたサイバーセキュリティ戦略です。信頼できるネットワークという概念を排し、データがどこにあっても安全とは限らないという考え方に基づいています。

ゼロトラストデータ保護では、PCの紛失や盗難といった物理的なリスクに対しても、通信環境に関係なくデータ漏洩を防ぐ仕組みが整備されています。また、業務に関わる資産や行動を見直し、企業のルールや方針を最適化することで、経営効率の向上にもつながります。

このアプローチでは、ネットワーク上のあらゆるユーザー、デバイス、アプリケーションに対し、事前に定義したポリシーをもとに厳格な認証・認可を実施。企業は、デジタル技術を活用しながら業務やビジネスモデルを変革し、競争力を強化することが可能になります。

さらに、すべての通信を暗号化し、送信データはリアルタイムでスキャンされるため、ランサムウェアなどの脅威の侵入を防止できます。ネットワーク上でユーザーが不可視化されることで、攻撃対象として特定されにくくなり、セキュリティリスクの低減につながります。

ゼロトラストデータ保護のメリット・デメリット

ゼロトラストは「何も信用せず、すべてを検証する」というセキュリティの考え方です。このモデルでは、社内外を問わず、すべてのアクセスに対して厳格なチェックを行います。導入することで、社外の端末でも安全に業務を行えるようになり、クラウドサービスも安心して活用できるようになります。

ここでは、ゼロトラストデータ保護の主なメリットとデメリットを解説します。

メリット

ゼロトラストの導入には、以下のような利点があります。

ゼロトラストでは、クラウドサービスへのアクセス時に、端末のセキュリティ状況をリアルタイムでチェックします。たとえば、ウイルス対策ソフトが最新であるか、マルウェアに感染していないかなどが確認されます。

従来は、1台のPCが感染すると社内全体に被害が広がる可能性がありました。しかし、ゼロトラストではアクセス権限をユーザーや部署単位で細かく制御できるため、被害の拡大を防ぎやすくなります。

また、テレワーク環境では社外の端末からも社内システムへアクセスが行われますが、ゼロトラストを導入することで、アクセス履歴の取得や不審な行動の監視が可能となり、情報の持ち出しリスクを最小限に抑えられます。

デメリット

一方で、ゼロトラストには以下のような課題もあります。

ゼロトラストでは、高度なセキュリティを実現するために、複数のソリューションやサービスを組み合わせて構築する必要があります。そのため、初期費用や運用コストが高くなりがちであり、コスト面を理由に導入を見送る中小企業も少なくありません。

また、ユーザーはアクセスのたびに多要素認証(MFA)を求められるため、ログインの手間が増え、利便性が低下することもあります。これまでの運用方法に比べ、セキュリティレベルを高める分、業務フローの見直しが必要になる場合もあるでしょう。

課題と対応策

ゼロトラストの導入には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。ここでは代表的な課題と、それに対する対応策を紹介します。

運用コストの増加

ゼロトラストの導入にあたっては、既存のセキュリティインフラの見直しや、新たなセキュリティソリューションの導入が必要となるため、初期費用や継続的な運用コストが発生します。

こうしたコスト負担を抑えるためには、一度に全体を切り替えるのではなく、システム全体を段階的にゼロトラスト化していくアプローチが有効です。優先順位を明確にし、必要な部分から順に導入していくことで、費用対効果を高められます。

担当者への負担増加

ゼロトラストでは、膨大な量のセキュリティログが日々生成されます。これらのログをリアルタイムで監視・分析し、悪意あるアクセスを即座に検知・対応するには、高度な知識とスキルを持つ担当者の存在が不可欠です。

その結果、担当者の業務負荷が増大し、運用が煩雑になる可能性があります。対応策としては、直感的な操作が可能な管理画面や、脅威を自動検出できる機能を備えたツールを導入することで、担当者の負担を軽減できます。

業務効率の低下とユーザーの不満

ゼロトラストでは、すべてのアクセスに対して認証プロセスが必要になるため、ユーザーには頻繁な認証操作が求められます。これにより、アクセスのたびに手間がかかり、業務効率の低下やストレスの原因となることがあります。

この問題に対しては、シングルサインオン(SSO)や生体認証などを活用し、認証手続きの簡略化を図ることで、業務効率を維持しながらユーザーの不満を軽減することが可能です。

自社に適したソリューションを見極めましょう

ゼロトラストには、ランニングコストの負担やログイン時の手間といった課題もありますが、クラウドサービスを安全に利用し、データ流出のリスクを抑えるための有効なセキュリティ対策です。

今後、ゼロトラストデータ保護とデータレスクライアントは、企業にとって欠かせないセキュリティ戦略となっていくでしょう。自社の業務環境や運用体制に合った最適なソリューションを検討することが重要です。