データレスクライアントは、PC本体にデータを保存せず、クラウド上で一元的に管理・運用する仕組みです。端末紛失時の情報漏洩リスクを大幅に軽減できるとされ注目されています。リモートワークの普及に伴い企業のデータ管理の重要性が高まる中、従来の方法では情報漏洩やデータの拡散などの課題が浮き彫りになっています。データレスクライアントとクラウドストレージを連携することで、より安全かつ効率的な業務環境をつくることができます。この記事では、データレスクライアントの仕組みとクラウドストレージとの連携のポイントを解説します。
データレスクライアントは、PCのローカル環境にデータを保存せず、処理のみを実行する仕組みです。業務に必要なファイルやソフトウェアは専用サーバーやクラウド上に保管され、必要に応じて一時的にキャッシュとしてローカルにダウンロードされます。オフラインでもファイルを操作でき、作業終了後はローカルのキャッシュが削除されるので、PC操作ミス時の情報漏洩リスクを軽減します。ネットワーク環境があればどこでも利用でき、セキュリティ強化やBCP対策にも有効です。
データレスクライアントは、専用ソフトをPCにインストールすることで、保存先が自動的にクラウドストレージに切り替わります。PC内には保存されません。主要なクラウドストレージ(Box、Googleドライブ、Microsoft 365、Amazon S3など)と連携できます。ファイル操作は従来通りWindowsエクスプローラーなどからできるので新しく覚える必要がありません。簡単な操作感で、継続的にクラウド上のファイルを閲覧・編集できます。
クラウドストレージとの連携は、次のような流れで行います。
連携することで、データがクラウド上で一元管理され、PCには一時的なキャッシュだけが保存されるので、PCの紛失・盗難時の情報漏洩リスクを大幅に軽減できます。必要なファイルは従来の通りPCのエクスプローラーなどで操作でき、ユーザーの操作感も損なわれることはありません。キャッシュファイルも活用して作業を続行でき、オンライン時に自動同期されるので、業務の中断を極力抑えられます。 通信は暗号化されていて傍受できません。多拠点・テレワーク・モバイルワーク環境での利便性が向上し、リモートで端末利用停止やデータ消去もできます。データはクラウドに自動的にバックアップされるので、ミスや障害があってもデータ消失のリスクを大幅に軽減可能できます。また、バージョン機能も搭載されていて、ファイルの誤った上書きや削除時も過去のバージョンや削除データを復元できます。
クラウドストレージとデータクライアントレス連携の場合、通信環境が不安定な場合のキャッシュ運用や同期タイミングに注意が必要です。オフライン環境では、事前にキャッシュ済みのデータのみ利用可能なため、重要なファイルは事前にキャッシュしておかなければいけません。製品ごとに対応しているクラウドストレージや機能に違いがあるため、導入前に対応範囲や管理機能の確保を十分に確認し、運用に合った製品選定が必要です。データレスクライアントでは、ファイルがクラウドストレージに保存・同期される仕組みなので、管理者はどのクラウドストレージを保存先とするか、同期のタイミングや方法を厳密に設定する必要があります。USBメモリなどの外部ストレージの使用を許可すると、データが持ち出されるリスクが高まります。利用可否のルール策定も大切です。
データレスクライアントとクラウドストレージ連携は、セキュリティと柔軟性を両立する現代的なデータ管理手法です。 データはPCに保存されずクラウド上で一元管理されるので、紛失や盗難時の情報漏洩リスクが大幅に軽減されます。オフライン時もキャッシュで作業を継続できます。対応ストレージや機能の差を把握し、適切な製品選定を行いましょう。管理者が保存先・同期設定やアクセス制御を厳しく運用することが成功の鍵です。