シンクライアントが普及しない要因の一つにコスト高があります。ここでは、従来のパソコンを使用するシステムよりもシンクライアントの方がコストがかかってしまう理由や仕組みの違いなどについて解説します。
シンクライアントの実行方式は大きく分けるとネットワークブート方式と画面転送方式の2種類です。さらに画面転送方式はサーバーベース型、ブレードPC型、デスクトップ仮想化(VDI)型に分かれます。
ネットワークブート方式は、イメージファイルをネットワーク経由で読み込むので、ネットワークへの負荷が大きくなります。そのため、ほとんどの処理をサーバー側で行う画面転送方式が選ばれるケースが多いです。
費用面で画面転送方式を考えると、サーバー上のアプリケーションをユーザーが共有するサーバーベース型が低コストですが、サーバーアクセスが集中するとパフォーマンスが維持できないという欠点があります。
ブレードPC型は基本的な通信方式はサーバーベース型と同じですが、サーバーではなくブレードPCを並べて負荷分散ができる方式です。しかし接続元端末ごとにブレードPCを用意しなければならないためコスト高がネックになります。
デスクトップ仮想化(VDI)型はサーバーに仮想化されたデスクトップ環境を構築して、端末からアクセスする方式です。サーバーベース型とブレードPC型の良いとこ取りをしたような方式で、シンクライアントでは主流となっています。
シンクライアントの中で比較的コストパフォーマンスに優れるデスクトップ仮想化(VDI)型でも、一般的なPC環境と比べれば導入コストは高くなります。
その理由は、シンクライアント用の端末が必要になる上に、デスクトップ仮想化を実現するためのサーバー環境も確保しなければならないからです。ユーザー数が多く、数百台規模になると端末+サーバー環境構築で莫大な費用がかかります。
情報漏洩防止などセキュリティレベルを上げるために必要なこととはいえ、こうした初期コストの高さが、企業のシンクライアント導入の障壁となってしまうのです。
シンクライアントは初期コストは高くても、運用管理費が抑えられるという考え方があります。サーバー側でOSやアプリケーションを一元管理でき、セキュアな環境でリモートワークが可能になるからです。
確かにそうした業務効率アップの効果は期待できますが、シンクライアントはネットワークにアクセスできる環境でしか使えないというデメリットもあります。サーバーがダウンしてしまえば業務がストップしてしまうのです。
それを回避するにはサーバー冗長化やミラーリングなどバックアップ体制の強化が必要になりコストがかかります。また、デスクトップ仮想化方式ではサブスクリプション型ライセンス費用がかかることもあり、必ずしも運用・管理コストが低くなるとはいえないのです。
どうしても高額になってしまい一部の企業しか導入ができなかったシンクライアントの現状を受け、セキュリティレベルは同等でシンクライアントよりも導入・運用コストを抑えられるデータレスクライアントに注目が集まっています。
本メディアではシンクライアントの代替ソリューションである、データレスクライアントについて詳しく解説をしています。予算的にシンクライアントの導入が難しい、シンクライアントの代替製品を探している企業のご担当者はぜひ参考にしてみてください。