こちらの記事では、2026年のITトレンドを踏まえてデータレスクライアントについての基礎知識と選定のポイントをわかりやすく解説していきます。なぜ近年データレスクライアントへの移行が増加しているのかという点や、実際にデータレスクライアントを導入する際に押さえておきたいポイントをまとめていますので、導入を検討されている場合などにぜひ参考としてご覧ください。
ここでは、「なぜデータレスクライアントへの移行が急増しているのか」という点について解説しています。2026年ならではの大きな3つの環境変化に関連している部分に注目しました。
近年、VDI(仮想デスクトップ)やクラウド上のDaaSを運用している企業では、コストの高騰が課題となっています。たとえばVDI基盤の改定にともなうライセンス料の上昇や、DaaSにおけるデータの転送・従量課金コストの膨張が企業のIT予算を直撃している、という状況になっています。以上の点から、より安価に運用が行えるソリューションへの乗り換えを検討する企業が増えていると考えられます。
NPU(AI専用プロセッサ)を搭載した「AI PC」が標準化することにより、PCローカル側にてAI処理を高速実行するニーズが高まっています。しかしVDIの場合には画面転送方式となっているため、端末側のNPUリソースを十分に活用することが難しいといえます。このように、ローカルのスペックを活かすという必要がある点も、データレスクライアントへの移行が急増している要因のひとつといえます。
テレワークが普及・定着することによって「社外へのPC持ち出し前提」の働き方が当たり前となっています。この点から、従来のように「ネットワーク境界で防ぐ」というセキュリティ対策ではなく、「端末内に一切データを残さない」というアプローチが用いられるようになりました。この点から、万が一PC端末を紛失した、盗難に遭ったといった場合、あるいはランサムウェアによる攻撃を受けた場合の対策を行えます。
ここで、2026年のデータレスクライアントの3大トレンドをご紹介します。「AI PCとの親和性」「パブリッククラウド統合」「高度なオフライン対応」という3点についてまとめていますので、ぜひ導入検討時の参考にしてください。
データレスクライアントとは、データをクラウドやサーバーに保存するという仕組みであることから、処理そのものはPCのローカル環境で行われています。そのため、CPU・GPU・NPUといった手元のPCスペックをフルに活かせる、という特徴があります。
このことにより、動画の編集やオンデバイスAIの活用のほか、Web会議も遅延なく動作します。
自社で専用の大掛かりなファイルサーバーを用意しなかったとしても、既存のOneDriveやSharePoint、Google Driveなどを保管先として直接連携を行うことが可能となります。この点から、二重のストレージ投資を抑えられ、社内外でのシームレスなファイル共有やバックアップの体制の構築が可能となります。
従来のVDIでは、オフラインの環境の場合作業が完全にストップするという点が課題となっていました。しかし、データレスクライアントの場合、たとえば飛行機や移動中などオフライン環境でも、自動で生成される堅牢な暗号化キャッシュ領域によって作業の継続が可能となります。さらに、オンラインに復帰した際に差分データが同期されることから、通信状況に左右されず、業務の手を止める必要がなくなります。
データレスクライアントを導入しようと決定したものの、どのような製品を選択したら良いかわからない、と感じている方もいるのではないでしょうか。そこでここでは、2026年にデータレスクライアント製品を導入すると決めた場合に押さえておきたい選定基準についてご紹介します。
製品を選定する際の条件として、AI PC・最新OS機能に対応しているかがポイントとなってきます。導入するデータレスクライアントが、端末のローカルリソース(NPUなど)を阻害せず、最新のOS環境のもとで安定して稼働するかどうかを確認してください。この部分が対応していないと端末のスペックを活かせず、投資効果が薄れることになります。メーカー側で、最新のOSへの対応状況や動作検証が行われている製品を選ぶことが大切です。
ゼロトラスト環境とは、全ての端末や通信を「信用しない」という前提に立ち、都度検証していくセキュリティモデルのことです。このゼロトラスト環境において、認証基盤との連携を行うことによって不正な端末からのアクセスを制御できるか、という点も重要になってきます。
データレスクライアントは端末に実データを残しませんが、オフライン作業用の一時キャッシュが残っているケースもあります。そのため、万が一端末を紛失した、盗難に遭ったといった際に、管理者コンソールからワンクリックで一時キャッシュや設定の遠隔消去が可能な「リモートワイプ機能」が搭載されているか、という点もしっかりと確認しておきます。この機能があることによって、情報が漏えいしてしまうリスクを低減できます。
こちらの記事では、データレスクライアントの基礎知識と選定ポイントについて解説してきました。2026年のPC持ち出し対策においては、「高額なVDI」から「データレスクライアント」へ乗り換えることは、セキュリティや生産性、コストの削減まで同時に達成する一手であるといえます。
端末のリソースをフル活用してAI処理やWeb会議を快適に行って生産性を向上させ、既存のクラウド資産を用いることで運用コストを圧縮できます。さらに、万が一端末を紛失などした場合にも遠隔データ消去が可能になるといったように、セキュリティを高めることにも繋げられます。