こちらの記事では、データレスクライアントに関連した基礎的な知識から、パブリッククラウドと組み合わせたPC持ち出し対策まで解説しています。現在VDIを利用しておりさまざまな課題に頭を悩ませている方は、「データレスクライアント×パブリッククラウド」という選択肢についても検討してみてください。
現在、従来使用されてきたVDIの見直しを進める企業が増えてきています。これは、専用サーバーの構築費用や複雑なライセンス費、運用保守コストが高額であるといったコストの課題、Web会議や動画再生の際に画面転送負荷により映像や音声が遅延するといったパフォーマンスの低下の課題、さらに通信環境がない場所では作業が完全できないといった課題があるためです。
これらの課題を解決できる方法として、データレスクライアントが注目されています。
ここでは、「データレスクライアント×パブリッククラウド」がなぜ注目されているのかを解説していきます。主に自社サーバーの運用保守が不要、既存のクラウド資産が活用できる、安全なデータ連携が可能となるといった点が理由として挙げられます。
データレスクライアントとパブリッククラウドの連携によって、オンプレミスで自社サーバーを運用・増設する必要がなくなります。ハードウェアの保守や日々のメンテナンス作業を行わずに済むため、インフラ管理の手間や管理に関するコストを劇的に削減することが可能。さらに、IT部門ではより生産性の高い作業に集中ができます。
企業の中ですでにMicrosoft365などのパブリッククラウドを利用しているケースについては、既存のストレージ領域をそのままデータの保存先として割り当てられます。このように、既存のクラウド資産を活用できればコストの削減が可能となり、高額なVDIサーバーを新しく用意する必要がなくなります。
PC端末にデータレスクライアント製品をインストールすることによって、「ローカルドライブへの保存禁止」と「パブリッククラウドへの即時・自動同期」が自動化されます。ユーザーは特別な操作を意識する必要がなく、端末内にデータを残さない運用を行えます。この点によって情報が漏えいするリスクを低減でき、社外・社内問わずシームレスで安全な作業環境を完成させられます。
| 比較項目 | 従来のPC(FAT PC) | VDI(仮想デスクトップ) | データレスクライアント×パブリッククラウド |
|---|---|---|---|
| 持ち出し時のセキュリティ | ✕紛失時の漏洩リスク大 | 〇 端末に残らず高セキュリティ | 〇 端末にデータが残らず同等に安全 |
| 操作性・レスポンス | 〇 快適 | △重い・Web会議で遅延が発生 | 〇 PCのリソース利用で非常に快適 |
| 導入・運用コスト | 〇 安価 | ✕サーバー・ライセンスが高額 | 〇既存PC・クラウド活用で非常にリーズナブル |
| オフライン利用 | 〇可能 | ✕原則不可 | 〇/△一時的な暗号化キャッシュ機能で対応可能 |
| 環境構築の容易さ | 〇容易 | ✕専用知識と長期間の構築が必要 | 〇PCにソフトを入れるだけで即導入 |
さまざまなデータレスクライアント製品が提供されていますが、実際にはどれを選んだら良いのかわからない、と悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。ここでは、データレスクライアント製品の選定ポイントを紹介します。
データレスクライアント製品を導入する際には、現在自社で運用中のクラウドサービス(Microsoft365など)とスムーズに連携できるものを選択することが大切です。利用しているパブリッククラウドに対応していれば、新たにストレージを用意する必要もなく、コストを抑えながらの導入が可能となります。
移動中や電波が届かない環境だったとしても作業を続けられるように、一時的に安全な暗号化領域にデータを保存し、ネットワークが復帰した後に自動で同期される機能があるかどうかを確認します。この機能により、オフライン時の利便性を向上させられます。
導入によって、さまざまなセキュリティ制御が可能かを確認します。たとえばローカル保存の禁止や、USBなど外部デバイスへの書き出し制限、万が一紛失や盗難に遭った場合に遠隔でロック・消去ができる管理機能を備えているかがポイントとなります。この機能を利用することによって、セキュリティを強化できます。
企業が抱えているさまざまな課題に対し、VDIからの乗り換え先として「データレスクライアント×パブリッククラウド」は非常にバランスの取れた解決策であるといえます。高額なサーバー構築費用やWeb会議時の遅延など、VDIの弱点とされている部分を克服するとともに、既存のクラウド資産を活かせるようになります。また、企業のセキュリティも強化できるといったメリットも得られる点も、データレスクライアントを導入するメリットのひとつといえます。