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VPN遅延対策!ローカルブレイクアウトとデータレスPCの併用

クラウドサービスやWeb会議の定着により、「VPNが遅くて繋がらない」「Web会議の音声が途切れる」といった課題が生じています。VPNを経由する通信が増え、拠点やデータセンターの回線、VPN装置の負荷が高まるためです。回線の負荷を逃がす方法としてローカルブレイクアウトがありますが、社内のプロキシを通さないため、PCを持ち出した際の情報漏洩リスクが高まるというジレンマも生じます。この課題への有効な方法の一つが、ローカルブレイクアウトとデータレスPCの組み合わせです。本記事では、その仕組みと選定ポイントを解説します。

ローカルブレイクアウト(LBO)とは?直面する「セキュリティの壁」

ローカルブレイクアウト(LBO)とは、特定のクラウドサービスの通信のみを、本社のデータセンターやVPNを経由させず、各拠点や端末のインターネット回線から直接アクセスさせる通信手法です。メリットは、データセンターの回線の逼迫や、VPN装置のボトルネックを緩和できる点です。一方、導入にブレーキがかかる要因が、セキュリティの壁です。本社のファイアウォールやUTMを通らない直接通信になるため、端末のマルウェア感染リスクや、端末のローカルに機密データが保存される機会が増えます。端末を社外に持ち出した際に紛失や盗難が起きると、ローカルに保存された重要ファイルがそのまま漏洩するリスクを抱えます。

なぜ「データレスPC」との組み合わせが適しているのか?

LBOで生じるセキュリティ上の課題は、端末側にデータを残さないデータレスPCを併用することで、リスクを抑えられます。ここでは、組み合わせが適している理由を、セキュリティ、利用環境、コストの3点から解説します。

直接ダウンロードしても端末にデータが残らない(持ち出し安全)

データレスPCは、ローカルストレージへの書き込みを制限し、保存先をクラウドやファイルサーバーへ自動的にリダイレクトする仕組みです。ログオフ時にデータを破棄したり、不可視化したりする方式もあります。インターネットへ直接接続して業務を行っても、PC本体に実データが存在しないため、社外への持ち出し時に紛失や盗難が起きても、情報漏洩のリスクを大きく抑えられます。LBOで増える端末ローカルへの保存という課題を、端末側の仕組みで補えます。

Web会議や大容量通信が手元のPCスペックでサクサク動く

VDIのように、サーバー上の画面を常時転送する必要がありません。音声や映像の処理は手元のPCのCPUとメモリを使い、Web会議などの通信は直接インターネットへ抜けるため(ローカルブレイクアウト)、遅延やカクつきが起こりにくい環境を整えられます。端末のスペックを活用して大容量の通信を処理できるため、Web会議や大容量ファイルのやり取りが多い業務でも、動作が軽くなることが期待できます。ただし、実際の快適さは、回線の品質や端末の性能にも左右されます。

回線増強コスト・高額な専用機器コストの抑制

高価なSD-WANルーターを全拠点に配備しなくても、PC側のソフトウェア(データレスクライアントなど)の制御によって、安全に直接アクセスする環境を構築できる場合があります。データセンターの専用線の増強や、VPNライセンスの追加にかかる多額のインフラ投資を抑えられる可能性があります。拠点が多い企業ほど、機器の配備や保守の費用を見直しやすくなります。削減の度合いは構成によって異なるため、自社の条件で比較します。

導入時に確認すべき選定ポイント

データレスPCとLBOを組み合わせる際は、製品や方式によって機能が異なるため、導入前に確認すべき点があります。ここでは、クラウドストレージとの親和性、ブレイクアウトの制御方式、ネットワーク切断時の運用ポリシーの3点を紹介します。

クラウドストレージ・ファイル共有サービスとの親和性

クラウドに直接つなぐ運用では、自社で使うクラウドストレージやファイル共有サービスとの連携が重要です。ファイルの同期設定や共有リンクの制御がスムーズに行えるかを確認します。同期の遅れや設定の複雑さは、業務の妨げになるだけでなく、保存先が意図しない場所になる原因にもなります。既存のサービスをそのまま使えるか、管理者が一括で設定できるかも、確認の対象です。

セキュアブレイクアウトの制御方式

LBOでは社内のプロキシを通らないため、端末側での制御が必要です。端末側のエージェントやセキュアコンテナなどによって、業務に関係のない不審なサイトへのアクセスをブロックするフィルタリング機能が備わっているかを確認します。制御の対象が特定のクラウドサービスのみか、通信全体かによっても、安全性は変わります。ポリシーを管理者が一元的に設定・更新できるかも、運用面のポイントです。

ネットワーク切断時の運用ポリシー

オフライン時の運用ポリシーも確認が必要です。ネットワークが切断された際に使う一時保存領域が暗号化されているか、オンラインに復帰したときに自動で同期されるか、同期後にローカルのデータが消去されるかを確認します。オフライン時の一時保存領域の暗号化と、復帰後の自動同期・ローカルデータの消去が機能する仕組みかを、製品の仕様で確認することが重要です。消去のタイミングや、消去できなかった場合の扱いも、あわせて確認します。

回線の負荷分散と端末のデータレス化をセットで進める

クラウドシフトが進む環境で、ネットワークを改善するには、回線の負荷分散と端末側のデータレス化をセットで進めることが有効です。ローカルブレイクアウトは、VPNや専用線の負荷を軽減できる一方、端末へのデータ保存や持ち出し時のリスクを伴います。データレスPCを組み合わせると、直接通信による動作の軽さと、端末にデータを残さないセキュリティを両立しやすくなります。導入では、クラウドストレージとの親和性、ブレイクアウトの制御方式、ネットワーク切断時の運用ポリシーを確認し、自社の運用に合った構成を選ぶことが重要です。